スマートテレビのセキュリティリスクと対策

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スマートテレビの普及に伴い、ユーザーはセキュリティとプライバシーへの配慮が必要です。スマートフォンやノートPC、タブレット端末ではセキュリティに気を付けている人でも、自宅にある娯楽のために購入したスマートテレビには気を抜いているかもしれません。

インターネットに接続されたスマートテレビには、音声認識、おすすめのコンテンツ、クラウドサービスへのアクセス、ソーシャルメディアとの連携など、魅力的な機能が数多くあります。しかし、スマートテレビは、視聴習慣をはじめとする大量のユーザー情報を収集しますConsumer Reportsによると、「その視聴情報は、他の消費者情報と組み合わせて、テレビだけでなく携帯電話やパソコンでのターゲット広告に利用することができます。」。どのような情報が収集され、第三者と共有される可能性があるのかを判断するのは容易ではありません。

スマートテレビの複雑さ、幅広い接続性、広範なデータ収集を考えると、十分に警戒する必要があります。しかし、Consumer Reports誌が38,000人のスマートテレビ所有者を対象に行った調査では、プライバシーについて「多少なりとも心配 (at least somewhat worried) 」と答えたのは51%、「セットのセキュリティ対策について多少なりとも心配 (at least somewhat worried about the sets’ security practices.) 」と答えたのは62%でした。

スマートテレビのセキュリティリスクとは?

セキュリティ研究者や消費者保護団体、メディアは、スマートテレビのセキュリティ上の脆弱性や収集するデータについて、たびたび懸念を表明してきました。例えば、2017年にWikiLeaksが公開した出典がCIAとされている文書には、さまざまな機器を危険にさらすためのツールやテクニックが詳細に記載されていました。その中には、一部のスマートテレビに搭載されているマイクを操作して、近くにいる人の会話を密かに録音することを目的としたハッキングプログラムも含まれていました。

盗聴のほかに、スマートテレビは、職務上で使用するデバイスやネットワークを共有する可能性が高いという懸念もあります。2018年の「ユーザーリスクレポート」では、米国・英国・フランス・ドイツ・イタリア・オーストラリアの6カ国で働く6,000人の社会人を対象に、個人のサイバーセキュリティに関する習慣について調査を行いました。自宅のネットワークで使用しているデバイスの種類を尋ねたところ、回答者の41%がスマートテレビを持っていると答え、スマートフォン、PC、タブレット端末に次いで最も使われている接続デバイスとなりました。

今回の調査では、これらの家庭用Wi-Fiネットワークは完全に保護されていないことが多く、スマートテレビやIoT機器の脆弱性がよりいっそう懸念されることも指摘されています。特に、自宅のネットワークに簡単にアクセスできる状況では、攻撃者がリモートワーカーと勤めている企業の機密情報に不正アクセスする可能性があります。

スマートテレビのセキュリティとプライバシーに関する5つの対策

スマートテレビは必ずしも悪いものではありません。また、すぐになくなるものでもありません。しかし、スマートテレビは、ネットワークに接続されたコンピュータであり、ノートPCやスマートフォンと同様に、十分な注意と認識が必要であることを忘れないでください。以下の5つの対策では、より良いセキュリティ行動を実践するのに役立ち、スマートテレビを保護する方法を紹介します。

  1. Wi-Fiをオフにする。スマートテレビをインターネットから切り離すと、基本的にはただのテレビとしての機能が制限されてしまいますが、リビングルームから抜き取られるデータも制限されます。別のストリーミング端末や外付け端末に接続することは、いくつかのリスクを伴いますが、WIREDのセキュリティニュース編集者のブライアン・バレットによると、これらのデバイスは「もう少しコントロールできるし、少なくとも期待通りの動作をしてくれます。」
  2. プライバシー設定を確認する。テレビのセットアップを急いでいると、デフォルトの設定のままにして、プライバシーやデータ収集のポリシーに関して思わず「同意する」をクリックしてしまいます。これらの設定を変更する方法は、テレビによって異なります。マニュアルを参照するか、カスタマーサポートに連絡する必要があります。Consumer Reportsでは、以下のような一般的なアドバイスをしています。「テレビを工場出荷時の状態に戻してください。そして、セットアップの過程で、最も基本的なプライバシーポリシーと利用規約に『はい』と答え、視聴データの収集には同意しないようにしましょう。」
  3. ソフトウェア (ファームウェア) を常に更新する。デバイスのアップデートを待つのは退屈なことですが、スマートフォンやコンピュータと同様に、テレビにも最新のセキュリティパッチが必要です。実際、WikiLeaksが公開したCIA文書には、スマートテレビのセキュリティを悪用したものが含まれており、セキュリティ研究者のブライアン・クレブス氏によると、「ターゲットがファームウェアをアップグレードしていない限り、機能する」とのことです。お使いのテレビによっては、自動アップデートを有効にできる場合があります。
  4. カメラを使用しないときはカバーをかける。テレビにカメラが搭載されている場合は、カメラを使うときと使わないときを意識的に判断する必要があります。テレビがハッカーに侵入されなくても、カメラにカバーをすることで、リビングルームの様子を誤って放送してしまうことを防ぐことができます。
  5. マイクに注意する。どうしても必要なとき以外は、テレビの音声認識機能をオフにすることをお勧めします。少なくとも、マイクのプライバシー設定を確認し、可能な限りアクセスを制限してください。

スマートテレビに関連するその他の対策については、IoT Q&A and Security Checklist infographicをご確認ください。