増加するM&A、システムだけでなくドメインの統合も重要
近年、企業のM&A(買収・合併・会社分割)が増加しています。日本では2021年以降、増加傾向にあり、上場企業による国内企業同士、および日本企業が買い手として海外企業を買収するケースが増えています。増加している理由には、中小企業に対してM&Aのアドバイスを行う企業などが増えたことが挙げられます。これには、中小企業庁によるM&A支援機関登録制度の創設が背景にあるといいます。
M&Aは、文化の異なる企業を統合するため課題も多くあります。システムの統合やセキュリティポリシーの統一を行ってガバナンスを効かせていくことはよく聞きます。これらに苦労している企業も多いですが、忘れがちながら重要なポイントにドメインの統合があります。M&Aによりブランドを統一しますが、ドメインもこれに合わせて統一する必要があるのです。
ドメインは、WebサイトにおけるURLやメールアドレスに使用される重要なものですが、これらを統一することも容易ではありません。特に、Microsoft 365(Outlook)を利用している場合はテナントが異なるため、ドメインの統合が非常に困難です。ドメインは企業ロゴと同様に企業にとって重要なブランディングです。M&Aの際に、ドメインの統一が課題となり、ブランド統合がうまくいかないケースが多くあります。
ドメインの統一における課題
ドメインを統一するために、新たにMicrosoft 365のテナントを作成するのは現実的ではありません。また、個別に利用しているサービスのログイン名にメールアドレスを使用するケースが多いため、ドメインを変更した場合に登録変更といった負荷が高くなるという理由もあります。
その一般的な解決方法がドメインの一括変換です。これは、例えば「example.com」を「example.jp」に変換します。これにより、対外的にはドメインを統一し、そこに送られたメールはドメインを変換して従来のメールアカウントに配送することができます。
しかし、残念ながらMicrosoft 365にそうした機械的にドメインを統一する機能は現在のところ用意されていません。
そこで別のソリューションを利用することになります。ドメインの一括変換が可能なソリューションはいくつかありますが、大規模環境で使えることが重要なポイントになりますし、きめ細かい変換が可能なことも重要です。例えば、メールアドレスの「@」より前の部分は企業によってルールが異なります。新しいドメインに一括変換すると、同姓同名の人への対応といった問題も起きます。
また、メールの仕組みは意外に複雑で、シンプルに変換するだけではうまくいきません。同じ場所から送られてきたものでも送信元のドメインが異なっていたり、どこかから転送されてくるようなケースがあったり、宛先もCCやBCC、メーリングリストなどさまざまなパターンがあります。これらを正確に、正しい宛先へ届ける必要があります。
「Proofpoint Email Protection」によるきめ細かいドメイン統合
こうしたドメインの統合に効果的なソリューションとして、世界中で支持されているのが「Proofpoint Email Protection」です。プルーフポイントは2013年にSendmail社を買収しており、その高度な機能をソリューションのベースに組み込んでいます。これにより、メールのゲートウェイで柔軟なルーティングが可能となっています。
Proofpoint Email Protectionが裏側でドメインの変換を行うことで、お客様は使い慣れたMicrosoft 365を継続して使用できます。詳細なルーティングが可能であり、Header-Fromのみの変換やEnvelope-Toでの変換にも対応します。多くの業界や政府による要求事項であるDMARCへの対応を考えると、Envelope-Toでの変換が望ましいといえます。もちろん、同姓同名の問題もクリアできます。
Proofpoint Email Protectionは階層化して使用することも可能で、例えば一層目ではグローバル全体をカバーしてアドレス変換処理を行い、二層目では海外地域を統括する事業会社ごとにメールセキュリティ処理を行うといったことが実現できます。これにより、国や地域ごとに異なる法的規制やビジネスニーズにきめ細かく対応することができます。
さらに詳細なルーティングを実施したい場合には、プロフェッショナルサービスを利用することでさまざまな機能を利用できます。例えば、Active DirectoryやOktaといったID管理・統合認証サービスとAPIで連携できるので、ユーザーのメールアドレス管理を容易に行えるようになります。
実際に海外企業とのM&Aにおけるドメイン統合をプルーフポイントのEメールセキュリティ ソリューションによって実現したNTTグループ様の事例もありますので、ぜひご覧ください。